ダイニングテーブルの高さの決め方

 

家族で囲むダイニング。
その中心に来るのがダイニングテーブルです。
家族構成やライフスタイルによって最適なサイズは異なります。
今回は焦点を絞って「ダイニングテーブルの高さ」についてお話しさせていただきます。

ダイニングテーブルの高さについて

●差尺 (さじゃく)を知る
テーブルの高さを決めるためには基本となる差尺を考えることが必要です。
差尺を考えずにテーブルやチェアを購入してしまうと高さ関係がチグハグな使い心地の悪いダイニングになってしまう心配があります。
差尺とは、、、
【チェアの座面高 - テーブルの天板高 = 差尺
簡単に言うとチェアの座面からテーブルの高さまでの距離です。

想像してみてください。
差尺が大きくなると椅子に座ったときテーブルが高くなるので、肘や肩が上がってしまい、時間が経つほどにダルさを感じるでしょう。
逆に、差尺が小さくなるとテーブルが遠くなるので、お食事や書き物をする際に腰が曲がってしまい、身体への負担が大きいように思います。

では、正しい差尺を知る方法は、、
【 ((身長×0.55)÷3) - 2~3cm = 最適な差尺
なんとも便利な方程式が上記になります。
例えば日本の成人の平均身長「164cm」をこちらの式に当てはめると
【 ((164×0.55)÷3) - 2~3cm = 28~27

この方法で個人個人の差尺が算出できます。
ご自身の伸長を当てはめて確認してみてください。

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●差尺を知ったらチェアーを選ぶ

ダイニングの高さを確定させる前に必ずダイニングチェア(座面高)をお決めください。

「ダイニングテーブルの高さに合わせてチェアの座面高を決める」と考えがちですが、これは間違いです。
テーブルに左右されて決めたチェアの座面高だと、座った時に足がつま先立ちになってしまったり、足が着きすぎてももが浮いてしまったり、最適なダイニングとは程遠いものになってしまいます。

座りやすいダイニングチェアの高さというのは「深く腰掛けて、かかとが少し浮く高さ」

それよりも高かったり低かったりすると身体に負担を感じ、長時間座るには向いていないチェアになってしまいます。
最適のダイニングチェアが決まれば、その座面高と差尺を計算してダイニングテーブルの高さが確定します。
例えば日本の成人の平均身長「164cm」の方が座面高「42cm」を選んだ場合のテーブルの高さは
【 ((164×0.55)÷3) - 2~3cm + 42 = 70~69
日本のダイニングテーブルの高さ基準『70cm』が頷ける数値になりました。

ここまで考えると大人と子供、性別、要は個人差の問題が気になってきますが、これは総合的な視点で考えることで解決できます。

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●総合的に考える

・子供がまだ小さい場合
基本は大人に合わせたダイニングの高さ設定にしてください。
末長くご愛用いただくことを考えると必然的な結論なのかと思います。
小さなお子様は座面の高さ調整のきく子供用の椅子を用意したり、大人の椅子で座布団を厚めに敷いて足元に台を置いてあげる等で対応します。

・最もダイニングを利用される方を優先に
両親・夫婦・子供、三世帯で使う場合もあると思います。
そのような時には誰がダイニングテーブルを最もご利用になられるのかを考えることが大事です。
言い換えますと、誰が最も家で過ごす時間が長いか、です。
もしも「テーブルのみ」「チェアのみ」をお探しの場合も上に倣って差尺を優先的に決めると良いかもしれません。

・それでも決め手に欠ける場合は
テーブルの高さを一番大きな方に合わせて決めて、そのテーブルの高さにそれぞれの身長に合ったチェアをあわせるのも一つの方法だと思います。
デザインの異なるチェアが並ぶと、それはそれで個性があり、そのご家庭だけの個性的なダイニングに仕上がると思います。

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▼注意すること

・海外デザインの高さ設定について
国内生産で日本人へ向けて販売されている家具はおおよそ日本人に合ったサイズ設定です。
しかし、海外製のものは違います。日本人と比較すると平均身長や生活習慣が違うからです。
海外では日本のように部屋の中で靴を脱ぎません。
例えば日本のダイニングテーブルの高さの基準値「70cm」
対して海外のダイニングテーブルは「75cm」を超えるものも珍しくありません。
ダイニングの高さ「5cm」の差は相当なものです。
オシャレだから、という理由だけで家具を購入してしまうと、そういう落とし穴があるのでお気を付けください。

・チェアの座面高表示と体感座面高について
WEBでなんでも購入できる時代です。
WEBページに掲載されている座面高(SH)表記は商品や販売店によってバラつきがあります。
座面の形状や素材もチェアによって異なります。
例えば座面高46cmの商品でも、クッション柔らかく厚みがある場合は座ると3,4cm沈みます。
逆に座面が板状の商品だと沈み込みはありません。
座面高は体感座面高を基準に差尺を計算することが大切です。

・販売店では靴を脱いで
理想は「我が家で座っている感覚」に近づけること。
できればお店で靴を脱いでチェアにお掛けいただきたいです。
靴床の厚みが加わったままの体感は、裸足の体感と思った以上に違ったものになります。
可能であれば、そのままダイニングテーブルに合わせてそれぞれの高さをお決めいただくことが理想的です。

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■ BRUNCHでは~

BRUNCHでは、テーブル含めほとんどの家具のサイズや樹種、塗装方法をお選びいただけます。
展示もほとんどの商品が日本基準に相当いたします。
お客様に最適な、一生を共に暮らす家具探しのお手伝いをさせていただけたらと考えております。

 

テーブルの脚、その固定方法で変わること

今回は「テーブルの脚の固定方法」にスポットをあて紹介していきたいと思います。

昔は天板と脚が取り外し不可の一体にする方法が用いられてきましたが、搬入が困難になるなどの理由から、近年ではほとんどのテーブルが脚の取り外しが可能となっております。
その固定方法は大きく分けて2種類に分類されます。

ひとつは天板裏に取り付けた幕板を介し天板と固定する方法

もう一方は天板裏に独立して固定する方法です。

幕板を介した取り付けは昔からある一般的な手法で、現在もそういった仕様のテーブルは多くあります。
幕板」については別のブログで紹介していますので、詳しいことはそちらをご覧いただくとして、幕板の主な目的は

■強度を持たせる
■反り止めの役割を果たす

ことが挙げられます。このように幕板は構造面における役割が中心ですが、BRUNCHでは幕板自体にデザインを加えたり機能を持たせているテーブルもございます。


TA-0444 ダイニングテーブル


TA-0474 ダイニングテーブル

幕板の位置やデザインが変わるだけで視覚的に印象が大きく変わりますね。

たいして単独での固定方法は、近年の金物技術の発展によりいろいろな方法が普及してきています。
その代表が先ほど写真でご覧いただいた「レッグジョイント」なる固定用の脚金物です。

レッグジョイントの最大の特徴は幕板を必要としないことです。
天板裏と脚の根元に対の金物を取り付けボルトで固定するため、単独で固定することができます。

図のようにボルトを締め付け、脚と天板の面接点で締結強度をとっています。さらに脚に干渉するものがないため、今まで以上にさまざまな脚の形状に対応できるようになりました。

たとえば下の2枚の写真。

同じ写真に見えますが、ひとつだけ違いがあります。
それは幕板の有無。
レッグジョイントなど単独で天板に固定する方法であれば、非常にすっきりとした印象のテーブルになります。

さらに反り止めも埋め込み式にすることで天板下に遮るものがなくなるため、幕板ありのテーブルでネックになっていた「アームチェアを合わせたい」「脚を組みたい」といった場合にも非常に有効な構造です。

これだけ見ると、すべてレッグジョイントにした方がいいのでは?と思いますが、必ずしもレッグジョイントが有効というわけではありません。

たとえば天板の厚みがあまりない場合、テーブルが横に長いと「たわみ」が生じてしまう場合がございます。そのため上記の条件の場合は幕板など、たわみ防止の補強材が必要になります。


天板厚27mmのすっきりとしたTA-0231テーブル。最大の長さW1800mmでお作りする場合は天板裏に補強材が入ります。

では「大きなテーブルは幕板なしではできないの?」となりますが、
天板に厚みがある場合は幕板なしでも大きなサイズでお作りすることができます。


同じシリーズの天板厚38mm TA-0067テーブル。幕板なしで最大2350mmまでお作りすることができます。

少し脚から話は逸れますが、天板は厚みが増すと印象も価格も変わります。
たとえば幕板のない27mm/38mm厚、幕板ありの27mm厚の3種類のダイニングテーブルをレッドオーク無垢材・4人掛けの目安となる1500mm×800mmで比べるみると、


TA-0008 38mm厚テーブル ¥174,960(税込み)


27mm厚テーブル(幕板なし) ¥133,920(税込み)


TA-0215 27mm厚テーブル(幕板あり) ¥120,744(税込み)

27mmと38mm厚では約10mm厚みが違うため材積(木材の体積)は1/3変わりますので、価格で差が表れます。
たった10mmとお思いになるかもしれませんが、実際にご覧いただくとその差は大きく、テーブルの印象を大きく変えます。
スタイリッシュなテーブルがお好きであれば27mm厚が、存在感・重厚感をお楽しみいただくには38mm厚がおススメです。

ただやはり価格の部分が気になる、そんな時は27mm厚に幕板を付けてみると、38m厚に負けない存在感・重厚感を感じつつ価格はかなり抑えることができます。
その代わりとして前述した「チェアの肘が当たる」「脚が組めない」という幕板の悩みが生じます。

この比較から見ると、結局のところは脚の固定方法から生じるテーブルの構造には、それぞれに良さがあり、足りない部分を補完する関係にあることがわかります。

まとめると

【幕板あり】
・構造上、安定感がある
・天板に厚みがなくても存在感・重厚感を演出しやすく、大きなサイズのテーブルを選べる
・チェアの肘や脚を組む際にはネックになる

【レッグジョイント】
・天板下に障害がなく、すっきりしたデザインにできる
・天板にある程度の厚みがあるものであれば、幕板なしでも大きなサイズのテーブルをお選びいただける
・天板に厚みがない場合は補強材無しでは揺れたりたわむ可能性があるため、選べるサイズが限定される

今回は27mm厚/38mm厚/幕板の有無で比較しましたが、テーブルとしての強度はもちろんすべて問題はございませんので、あとはどの部分を重要視するかによってテーブルをお選びいただければと思います。