それぞれのチェアの違いというものは樹種であったり、アームの有無であったり座面の仕様であったり、と様々です。
見た目にも違いがわかり、座り心地の差がでるもののひとつとして「背の高さ」というものがあります。
オフィスなどで使われるデスクチェア、ワークチェアと呼ばれるような椅子はヘッドレストやリクライニング機構が備わっていたり、ランバーサポートという腰回りのサポートをしてくれるような機能が調節できたりと多機能なものが多いですが、木でできているダイニングチェアに関しましては構造上細かな機構を内蔵することが難しい反面、そういった機構が壊れることが少ないので長く使うことができます。
では、木の椅子、ちょっとみてみましょう。
こちらの背の低いチェアと
こちらの背の高いチェアを比較してみます。
数字上では、
上の背が低いチェアが710mm、背の高いチェアが920mmと200mm以上差があります。直接比べてみますと、
うしろ姿ではこのような差に。
横から見ても、その差は歴然です。
左の背の高いチェアの方が、傾斜がかって見えますが、下の写真にある通り、座った時の体のラインはそれほど違いはありません。
それでは、座ってみます。
背の高いチェアは、背中の肩甲骨のあたりまでしっかりと支えてくれますので、体重をかけて身を任せるような姿勢でリラックスできそうです。座り心地としてはとても気持ち良く身体も楽です。
ちなみにこのチェアですと、背中を支えるスポーク状のオーク材がよくしなり、バネのように体にフィットしてくれる感覚があるので非常に快適です。
対して、背の低いチェアは、腰のあたりを支えてくれる形になります。座り心地はライトで、立ち座りなどが気軽にできる印象です。
こちらのチェアは削り出した背の一番上の部分、笠木(かさぎ)が身体にフィットしてくれますので、長時間座っていても背中が痛くなるようなことは少ないかと思います。
そして、背の高さの差はそのまま重さの差にもなります。
部材の量が違うために、椅子の重さにも多少影響します。テーブルへの出し入れは背の低いチェアの方が、比較的、軽くて楽です。
ただ、両手で背を持って、差し込むような姿勢をとる場合は、胸のあたりで背を持つことができる形状の差から、背の高いチェアも動かしづらいということはありません。
背の高さの差による座り心地の差は、体格などの個人差もありますが、好みによる部分は大きいでしょう。様々なチェアを実際に座り比べてみて、背の高さの差による違いに注目して好きなチェアを探してみるのも楽しいですね。
さて、座り心地も大切ですが、テーブルと合わせた時にどのように見えるか、ということも重要です。椅子は座っている時間よりも、テーブルに差し込まれている時間の方が長い場合も多いので、その姿もみてみましょう。
背の高いチェアの場合、天板面よりも、随分とはみ出てきます。国産のダイニングテーブルの標準的な高さが700mmであることから、概ね200mmほど天板面から背の立ち上がりがあります。対しまして背の低いチェアは、天板面とほぼ同じ高さの背を持つので、飛び出てきません。
背の高いチェアは存在感があり、木の家具があるお部屋の雰囲気を作ってくれます。横のラインが強調されがちなテーブル周りに縦のラインを加えてくれるチェアはデザイン的に面白い要素としてコーディネートに取り入れられます。
また、このチェアの場合はスポーク状の背のおかげで天板の端の部分が見えます。一枚板や耳付きの天板であれば、せっかくの耳の部分(立木の時の皮の部分)を隠すことがありませんので、その魅力を存分に楽しめます。
それとは逆に、見た目上すっきりと見えるのは背の低いチェアだと言えるでしょう。お部屋を広く見せる効果もありますし、例えば洗濯物を持ってテーブルの近くを通るときに、動線の邪魔になりません。
背の高さによるメリット、デメリットは一長一短、どうやら、すべての方に絶対こちらがオススメ!というのは難しいようです。
ご自分に合った座り心地、ご自分の生活スタイルにあった様式、なによりお好きなデザインのチェアを探しに、実際に座ってみることをお勧めいたします。是非たくさんのチェアに座ってみて、感じてみてください。