一枚板の価値はどこにある?~part.1~

迫力のある「一枚板」のテーブル。
木製の家具をご検討・お使いの方なら、一度は目にしたりその名前をお聞きになったことがあると思います。

さて一枚板と聞くと「贅沢」「貴重」などのフレーズを思い浮かべますが、
一枚板の価値はどんなところにあるのでしょう?

その価値は商品になるまでの間に多くの理由が隠されていますので、何回かに分けて紹介したいと思います。
一枚板の価値の理由を知ることで、より興味と魅力を持っていただければと思います。
 

☑一枚板が採れるのは何年後?

一枚板とは丸太から丸々切り出した接ぎ目のない板のことです。

ダイニングテーブルの一般的な奥行きサイズは80cm以上と言われていますが、
一枚板でこのサイズを採ろうとすれば、単純計算で丸太の直径は80cmということになります。

ただ木は元々水分を多く含んでおり、そのままでは家具としては使用できないため、十分な乾燥を行う必要があります。
その際に体積が減り縮んでしまうため、必要寸法よりも大きな丸太が必要となります。
木の成長速度には個体差がありますが、樹齢100年以上ということも多々あり、
一枚板が採れるまでにかかる途方のない時間を想像するだけで価値・魅力を感じることができますね。

ちなみに人気のブラックウォールナットは極寒の地で生育しているため成長速度が非常に遅く、ダイニングテーブル用のサイズになるまでには樹齢100年を優に超えます。その人気と成長速度の遅さから最近では大木も少しずつ減りはじめ、当然市場価格も高騰しています。

 

☑ひとつの丸太から何枚くらいの一枚板が採れるの?

サイズ・状態によるため一概には言えませんが、たとえば直径100cmの丸太から奥行き80cm以上の一枚板は
おそらく1~3枚程度になります。
その理由は丸太の中心に近い部分しかそのサイズを満たすことがでできないこと、
また丸太の中心を通る板、「芯持ち材」は一枚板に向かないことが挙げられます。

こちらが芯持ち材です。
放射線状に割れが入っているのが見えます。
芯持ち材は本来一番広い奥行きが採れるため重宝されそうですが、
ほとんどの場合でこのように割れてしまうため、あまり一枚板には向かず、芯を取り除き接ぎ合わせ天板やテーブルの脚の材料として使用されます。

ちなみに木は中心部分の心材(赤身)ほど腐りにくくシロアリや腐朽菌などの被害を受けにくいため、
その特性から芯持ち材は建物の土台や柱として使用されています。

懸念される割れに関しては、完成時には見えない角材の一面にたいして中心部分に向かい鋸を通す「背割り」という方法を用いることで、収縮がこの部分に集中し、他の部分に割れが表れにくくなります。

またこの背割りを入れることで、また中心部分の乾燥を早める役割も担っています。
強度においても支障が出るほどの低下はなく、芯持ち材はしなりもあるため、このように使用されています。

このように一枚板は、まず材としての希少価値がとても高いことが分かります。
店頭には既に商品として出来上がった状態でご覧いただくこと、そしてそれが何十枚も並んでいるせいか、
一枚板の価値をつい見た目に求めがちですが、内側にある価値にも目を向けていただけると幸いです。
続きはまたの機会に。