キャビネットの前板のデザインのいろいろ

キャビネットは、扉や引出しのついた箱形の収納家具の総称です。
物を沢山入れておく収納家具ですので、収納可能な容量をできるだけ確保しようとすると、全体としてのデザインはほぼ決まってきてしまいます。
そんな中で、前板(扉や、引出し等の前面側にある板)にそれぞれの収納家具のデザインの違い、個性が集約されてきがちです。

今回は、BRUNCHで取り扱うキャビネットのそんな前板のデザインにスポットをあててみたいと思います。

1.普通の板戸

まずは最もシンプルなデザイン。普通の板戸です。
前板にデザインが無いことがデザインです。
非常にシンプルなデザインですが、こと無垢材の家具ですと様々な木目の出方や、接ぎの部分毎の微妙な色の違い等で、
その木の表情がデザインとなってくれます。
むしろ、余計なデザインが無いことで、それぞれの木の表情がより際立ちます。
また、シンプルであることで、割とどんなテイストのインテリアにも合わせることができます。

2.横スリット

次は横方向の比較的大きめのスリットが入った前板のデザインです。
こちらもどちらかと言えば割とシンプルなデザインですが、これだけでも少し収納家具のデザインに動きが出ます。
それでいて、普通の板戸程では無いかもしれませんが、無垢材の豊かな表情を感じることができます。
このデザインも、シンプルなのでどんなテイストのインテリアにも合わせやすいと言えます。

3.細く沢山入った横スリット

こちらは2番の変形バージョンですが、細いスリットが沢山入った前板のデザインです。
スリットがかなり細くなった分、スリット自体の存在感は2番より少ないです。
しかし、その分デザインがより普通の板戸に近くなり、無垢材の豊かな表情をより感じられます。
それでありながら、細いスリットが目立たないながらも確実に家具の表情に動きを与えてくれます。
こちらももちろん、どんなテイストのインテリアにも合わせやすいと言えます。

4.細い縦のスリット

そしてこちらは細い縦方向のスリットが沢山入った前板のデザインです。
これもどちらかというとシンプルなデザインで、スリットが縦方向に入って家具の表情に陰影を作ります。
そして、この画像の家具が縦のスリットを境にして無垢板を接ぎ合わせているのも大きいのですが、
この縦のスリットが無垢材の表情の違いをより際立たせてくれると言ってもよいでしょう。
今までご紹介したものよりも、もっと無垢材の表情の豊かさがそのまま家具のデザインとなっていると言えるでしょう。
無垢材の表情の違いをもっと大きく感じたい方向きのデザインと言えるかもしれません。

5.矢貼り

最後は「矢貼り」という、突板を斜めに貼り合わせる技法を用いた前板のデザインです。
突板は通常、縦方向や横方向に貼るのが一般的ですが、こちらのサイドボードはそれを斜めに
貼り合わせることで、より上品な見た目に仕上げています。
また、突板は木を非常に薄くスライスしたものなので、同じ木目のものが大量に出来上がります。
通常、それを縦方向や横方向に並べて貼ることで、全体的に木目が揃った均一な見た目になるのですが、
逆に言うと無垢材より木の表情の違いや自然のバラツキといったものを感じにくくなります。
しかし、この「矢貼り」のような技法を使うことで、そんな突板の家具の見た目にも面白い動きが出てきます。

いかがでしたでしょうか。
BRUNCHで取扱いのあるキャビネットの前板のデザインをいくつかご紹介致しましたが、
世の中にはまだまだ様々なデザインのキャビネットが存在します。
これに、チェストやTVボードといった他の収納家具の前板のデザインも合わせれば、
その数は非常に多くなります。

そんな中で、自分の心の琴線に触れる、個人的に完璧な、そんなデザインに出会えたら、それはある種
とても運の良いことなのかもしれません。

今はインターネットが発達し、検索すれば非常に多くのデザインの収納家具を写真で見ることができます。
お時間のある時にちょっと検索してみて、自分の心の琴線に触れるデザインを探してみるのも良いかもしれませんね。