チェアには「板座」と「張座」の2種類の座面がございます。
こちらが板座。
座面が木で出来ているチェアです。
こちらが張座。
あまり聞きなれない言葉ですが、要は座面が木ではなくクッションがあったりするチェアです。
お食事後の団欒や仕事椅子など、長時間座る場合はクッションがあるチェアは魅力的です。
普段は目に見えない部分なのであまり気にされることはないかもしれませんが、このクッション部分にはさまざまな工夫が凝らしてあり、主に座り心地に大きな変化を与えます。
そこで今回はいくつか特徴のある張座チェアを構造とあわせて紹介します。
☑クッションについて
まず張座のチェアの中身は一般的にウレタンフォームが使用されています。
と言われてもあまりイメージが沸かないかもしれませんが、極々簡単に説明するとスポンジ状のクッション材のことを指します。私たちの周りにもたくさんのウレタンフォームがあり、一番身近なものでは食器などを洗うスポンジもウレタンフォームの一種です。
このウレタンフォームを座面の上に置き、生地で覆った状態のものが張座のチェアです。
☑ウレタンフォームで変わる座り心地
ウレタンフォームには密度などいろいろな種類があり、それぞれ最適な用途が変わります。このウレタンフォームの組み合わせによって座り心地を大きく変えることができます。
一般的なチェアはスポンジ端材を粉砕したヘタリに強いウレタンチップを心材に、その上にウレタンフォームを1枚重ねる仕様が多く見られます。
たいしてCH-0224チェアはウレタンチップの上に硬さ、厚みの異なるウレタンフォームで2枚重ねています。
■一般的なチェア
■CH-0224チェア
これによりチェアというよりソファに近い座り心地を表現することができます。
CH-0258オリジナルチェアはCH-0224チェアと基本構造は同じながら、ウレタンの硬さを変えることで少し弾力のあるしっかりした座り心地にしています。
上記2点は特に座り心地を追求し、それにより、まるっとした座面の存在感もデザインの一部として生かすためにフレームをシンプルなデザインに仕上げています。
もちろん一般的なクッション構造のチェアでもお食事の時間だけであればまったく問題なくご使用いただけますし、座面もすっきりとした印象を保つことができますので、スタイリッシュなデザインのチェアに向いています。
このあたりはライフスタイルや好みによってお選びいただければと思います。
☑スラブウレタンとモールドウレタン
いくつかの原料を混ぜ発泡させることで出来るウレタンには大きく分けて2つの作り方があります。
ひとつはスラブウレタン。
型などはなく、発泡したウレタンを必要な大きさに応じてカットして使用します。
もうひとつはモールドウレタンです。
スラブウレタンと違い、専用の金型に原料を流し込み、型通りの形状に作る方法です。
身近なものでは自動車のシートなどに使用されています。
モールドウレタンの利点は、均等に圧がかかるためどの面も同等の弾力をもち、高密度で高い耐久性を備えていることです。
また自由自在な形のウレタンを作り出せることも大きな利点です。
これにより優れた体圧分散性を誇り、体にフィットする形にウレタンをデザインすることができます。
ただ金型を製作するにはかなりの費用がかかり、それに伴いチェアの価格も高価になってしまうため、一般的にチェアの座面にはスラブウレタンが使用されていますが、BRUNCHの商品でもモールドウレタンのチェアがございますので1点紹介いたします。
座面をご覧いただくと立体になっているのが分かると思います。
これにより非常に優れた座り心地を表現することができます。
一般的なウレタンとは一味違う座り心地ですので、どうぞ店頭で実際にお確かめください。
☑クッション下の構造
ここまでクッションに使用するウレタンフォームの違いをみてきましたが、最後はクッションの下の構造について見ていきましょう。
まずクッションを乗せている枠にはいくつかの仕様がありますので、今回は3つ紹介します。
ひとつはベニヤなどの合板の上にクッションを乗せる方法で、これが最もオーソドックスなタイプです。
このタイプは、座板の上にクッションを乗せているため、しっかりとした座り心地になり、多くの場合が木ネジやボルトで固定されているので、座面の付け替えが比較的安価かつ容易に行えることが魅力です。
CH-0068チェア
北欧デザインを取り入れたシンプルなチェア。広々とした座面は緩やかに曲線を持たせています。
CH-0025サイドチェア
流れるようなフレームラインが美しいこちらのチェアは村澤一晃氏デザインです。
つづいてはウェービングテープを使用したタイプです。
ゴム製のテープを交差させ張り込んでいく方法です。
張りの強さを調整することにより弾性を自由に変えることができます。
底付き感を軽減できる、通気性が確保できる特徴があります。
CH-0224サイドチェア
CH-0258サイドチェア
先ほども登場したこの2脚は座面にウェービングテープを使用しています。
座板による底付き感がなく座り心地を向上させてくれます。
最後はダイメトロール。
木部の枠組みの中をダイメトロール(布バネ)にする方法です。
面で体を支えるため、微妙な感覚にフィットし適度な軟らかさと弾力を持っています。
ウェービングテープ同様に底付き感を軽減できる、通気性が確保できる特徴があります。
また薄い素材のため、チェアの軽量化とスタイリッシュなデザインの実現に一役買ってくれています。
強度も金属製のバネにくらべ5倍ほどと言われており、長時間座ることが多い飛行機のシートにも使用されています。
CH-0023サイドチェア
無駄をそぎ落とした細くシンプルなフレームデザインとダイメトロールを使用したチェアです。
とにかく軽く、出し入れも楽に行えます。
CH-0304ハンギングチェア
ゆったりとした座面にダイメトロールを使用しています。
アームをテーブルにひっかけることでハンギングすることができます。
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以上のように一言で張座のチェアと言ってもクッション部分とその下の構造により座り心地が変わってきます。
さらに言えばデザインにも影響を与えていることが分かりますね。
普段は見えない箇所ですが、この部分にいろいろな工夫が施されていますので、チェア選びの際はどうぞ今回の内容を思い出していただければと思います。
最後に番外編としてこちらのチェアを紹介します。
デザインからしてチェアというよりはソファに近い印象ですが、座り心地もまさにその通りで、通常ソファに使用される座面構造をチェアに取り入れています。
高密度のウレタンフォームに加え、弾力性と体圧分散性に富んだポケットコイルスプリングを使用していますので、座り心地は言うまでもなしです。目黒のbrunch+oneにて展示しておりますので、ご来店の際はどうぞお試しください。