キャビネットという言葉は非常に広義で使用されますが、家具に関する意味でいくと収納家具の総称で使われることが多いです。
収納家具といってもその種類はまた様々ですし、どのようなものが自分に適しているのかを理解していらっしゃる方は少ないと思います。
そこで今回はキャビネットの選び方について、いくつかのヒントをご紹介します。
<そもそもキャビネットが必要なのか>
最初から否定的な見出しですが、これはとても重要なポイントとなりますので最初に説明します。
まず昨今の住宅はキッチンや寝室、カウンター下から廊下まで様々な空間に収納スペースが設けられています。
お持ちの荷物の量にもよりますが、この備え付け収納で事足りるのであれば新たに収納家具を購入する必要はないのです。
そんなことはわかっている、という声が聞こえてきそうですが、お引越しやリフォームなどでバタバタしていると意外と最初から「必要」と決まっている方も多い印象です。
家具屋としては有り難いのですがより広く、より快適にお部屋を使うためには、「キャビネットを置かない」というのも重要な選択肢のひとつであると思います。
<仕舞いたいモノを知ろう>
ここからが本題です。
備え付けの収納では荷物が収まりきれなかった場合、まずは『なにを・どのぐらい』収納したいのかを知りましょう。
ざっくりと「なんでも仕舞いたい」でもいいんですが、せっかく高いお金を払って買うものですから自分の生活に適した収納家具を選びましょう。
以下の2点がポイントです。
■サイズを知る
例えば「本を仕舞う」場合、本といっても雑誌なのか文庫本なのかハードカバーなのか図鑑なのか辞書なのかによってそのサイズは様々です。
仕舞いたいもののサイズを知ると必要な内寸がわかります。
お部屋に置いた印象を左右するのは外寸ですが、主な目的が収納であるキャビネットを選ぶ際は必要内寸を知ることが重要なポイントです。
■量を知る
サイズがわかったら次に重要なのは量です。
前記のように本で例えるなら、現状このくらいの量を持っているという事を把握する必要がありますが、本のように増え続ける可能性のあるものは将来的にこのくらいになるだろうという見通しも必要です。
あるいは自分のお気に入り100冊など、量を決めて収納するという方法もひとつですね。
<仕様を選ぶ>
収納するものがわかったら次は『どのように』収納したいのかを考えましょう。
仕様とは、例えば引出しであったり扉であったりキャビネットの形状のことで、それぞれにメリット・デメリットがあります。
細かく言えば実に様々ですが、ここでは代表的な3タイプについてメリット・デメリットをご紹介します。
■引き出し(抽斗)
もっとも見かける仕様かと思います。
内箱があり仕切りをつけることもできますので、こまごました雑多なものなどの収納に向いています。また引き出すことで収納物が見渡せますので、DVDやCDをはじめとする様々な収納物をぱっと見つけられるという点は引出しならではです。
〇メリット
・転がる、量が多いなどこまごましたものの収納に適している。
・引き出すことで内容を見渡すことができる。
・つまみなどでアクセントをつけることができる。
・レール付きの場合、重量のあるものを収納しても楽に引き出せる。 など。
×デメリット
・引き出すのでキャビネット前にある程度のスペースが必要。
・レールがない場合、重量のあるものを収納すると引き出しにくい。
■開き扉
こちらもよく見かける仕様です。
扉があることで収納物をかくし内部が見えませんので、生活感を軽減できます。
ほとんどの場合、内部は可動式の棚になっているので細かく棚のサイズを調整したり棚を外して広く使ったりすることができます。
〇メリット
・サイズの大きいものも収納できる。
・扉をガラスにすることで飾りながら収納することができる。
・内箱がないので内寸を広くとれる。
×デメリット
・扉が前に開くのでキャビネット前にある程度のスペースが必要。
・奥行きが深いと奥のものが取り出しづらい。
■引き戸
和箪笥などで多く見られる引き戸は、現在でも様々なデザインで用いられています。
多くのキャビネットが引き出しや開き戸のなか、アクセントとして使ってみても面白いですし、他にはない良い点もたくさんあります。
〇メリット
・前に開かないので省スペースで設置できる。
・開き戸に比べると中のものを見渡しやすい。
×デメリット
・扉が重なるため、内寸が小さくなる。
・観音開きのように仕切りのない大きなスペースは取りにくい。
<デザインを選ぶ>
ここまでで『なにを・どのくらい・どのように』収納したいかが、ある程度見えてきたかと思います。
では最後にデザインを選びましょう。
姿や形、ツマミや手掛けの彫りこみなど細かいところも含めると本当にたくさんのデザインがあります。
今回は選び方のヒントとしていくつかご紹介しましたが、『このデザインが気に入った!』からスタートしてももちろん良いのです。
素敵なデザインに出会った時は細かい仕様などどうでもよくなるものです。
しかし将来、無用の長物や物置代わりにならない実用的なキャビネットをお探しの際は、参考にして頂けると思います。
また、ほとんどのキャビネット達は特注オーダーが可能です。
ああしたい、こうしたいといった事がありましたら、どうぞお気軽にスタッフまでご相談ください。