「ダイニングテーブル」と言われたとき、多くの人はこのような形を想像するかと思います。
天板に脚が四本の、このようなオーソドックスな形は四本足の動物に例えられることがあり、例えば古い製造の現場では、天板面のことをカメの甲羅に例えて「甲板(こういた)」と呼ぶことがあります。
「木目」があって、「脚」と呼ばれる部品があり、甲羅まであるダイニングテーブルですが、実は、「耳」があるダイニングテーブルもあります。
ダイニングテーブルの「耳」とは、この部分(テーブルの端)をさします。
BRUNCH各店の中でもbrunch+timeに多く展示がある耳付きのテーブルですが、耳とはどのようなものでしょう。
まずは写真を見てみましょう。
一枚板など、丸太を縦にスライスしたイメージの天板に多くみられる仕上げで、木の表面の皮の部分が残っていたり、デコボコとした形を留める程度に研磨したものの端の部分を「耳」と呼びます。
TA-0356 チーク耳付き二枚接ぎ
この耳部分を切り落としてまっすぐにしていたり、丸みをつけたりする加工を「面加工」といい、その形の状態を「面形状」と言います。
BRUNCHの一部のテーブルで選ぶことのできる代表的な面形状はこのようなバリエーションがあります。
この写真なら、角面という面形状ですね。
刃物でその形に削り成型する面加工ですが、耳付きの天板というのは、このような面加工とは一線を画す、特別な仕上げになります。
まず、この「耳」の部分、伐採される前の立木の状態ではもちろん、木の一番外側に樹皮として位置し、木内部を風雨や病気、虫などの被害から守っています。
つまり、この外側の部分が一番傷がつくことが多く、綺麗な状態を保つことが難しい部分となり、耳付きの板に希少性が生まれます。
また、この耳の部分は樹種によって大きく形が違います。
写真は栃の一枚板の耳の部分ですが、まっすぐに育つことが少ない栃の木は木目もダイナミックで、その耳部分もうねりのある形状になります。
くらべて、こちらのブラックウォールナットのブックマッチ天板の耳は、通直なウォールナットの木目の通り比較的まっすぐな耳の形状になっています。
材料として伐採されるまで、その土地に立木として生えていた何十年もの歴史が刻まれている耳。
大自然の息吹や木の性格がそのまま表れる耳にはたくさんの魅力がつまっています。
4辺がすっきりと製材された天板からは感じ取れない様々な森の空気を、この耳の部分から存分に味わってください。